こんにちは、八王子市・日野市・世田谷区で安心のご葬儀・家族葬のお手伝いをする葬儀社、都典礼(みやこてんれい)です。
今日もご葬儀に関する疑問、悩みの解消に役立つ情報をお伝えします。
ご葬儀に関係のある車といえば、多くの人が霊柩車を思い浮かべると思います。霊柩車はご遺体を運ぶ車であることは広く周知されています。実は、霊柩車以外にもご遺体を搬送する車があることをご存じでしょうか?寝台車と呼ばれる車がそれに当たります。
この記事では、寝台車と霊柩車、それぞれの車の特徴や違いについて解説していきます。
寝台車と霊柩車の違い
寝台車と霊柩車、ともにご遺体を搬送するために使われる車です。
両者の違いはご遺体の搬送ルートです。寝台車はご遺体を亡くなられた場所から、安置する場所まで移動させる目的で使用されます。病院、施設などからご自宅や葬儀場へ搬送するのが一般的です。
霊柩車は葬儀場(ご遺体の安置場所)から火葬場へと、棺に入ったご遺体を移動させる目的で使用されます。このように「どこからどこへご遺体を搬送するか」で、使い分けされる寝台車と霊柩車ですが、見た目の違いは少なくなってきています。
以前は霊柩車といえば、「宮型」と呼ばれる車の上部が神社や寺院の屋根の様な造りになっているものが主流であったため、街中を走っていると大変目立つ存在でした。しかし近年では寝台車と同様、派手さを控えたタイプの車両が多いためパッと見ではどちらの車両か分かりづらい場合もあります。
どちらの車両か見分けたい場合は、前のドアを確認してください。霊柩車であればドアの下部に「霊柩」もしくは「霊柩限定」と書かれています。
寝台車と霊柩車それぞれどのような車なのか、もう少し詳しく説明していきます。
寝台車とは
寝台車とは、広い意味でいうと以下の3種類が存在します。
①亡くなった人を搬送する車
②病人やけが人を搬送する車
③寝台付きの鉄道
人を寝かせた状態で移動させる機能を備えているのが寝台車ということになります。この記事では霊柩車との比較になりますので、①の寝台車について取り上げています。
寝台車の使用目的
寝台車は亡くなられた人を亡くなった場所(病院や施設、ご自宅など)から、ご遺体を安置する場所(ご自宅や葬儀場の安置室)へ搬送することを目的としています。
営業目的で運行するためには、貨物自動車運送事業法に基づいた許可を国土交通大臣から受けている必要があります。
仮に、安置場所への搬送を「寝台車を使わず、ご遺族の自家用車で行いたい」とします。法律的には問題はありませんが、ご遺体は死後硬直や体液の流出、損傷のリスクがあることなどを考慮すると専門業者に任せたほうが安心できるでしょう。
寝台車の特徴
寝台車は通常仕様のミニバンやステーションワゴンを改造して製作されているのが一般的です。
構造の特徴としては、出し入れできるストレッチャーや担架が備わっており、搬送時に動くことのないようにしっかりと固定できる機能が付いていることがあげられます。またご遺族などが同乗できるよう、座席が備え付けられているのも寝台車の特徴のひとつです。
外観は市販されている車両とほぼ変わりません。これは故人をご自宅に安置する際、なるべく人目につかずに搬送できるよう配慮されているためです。車両の色も以前は黒色が圧倒的に多かったのですが、近年では白色やグレーなど様ざまな色の寝台車が使われるようになっています。
寝台車は葬儀社が自社で管理し、いざという時に迅速に対応できるようにしている場合がほとんどです。当然のことながら営業目的での所持となりますので、車のナンバープレートは特殊用途自動車に用いられる8ナンバーで、色は貨物自動車運送事業法に基づき緑色となっています。
もしご遺体の搬送を依頼して白色のナンバーの寝台車が来た場合は、無許可での遺体搬送業務となり違法行為に該当します。そのような葬儀社に大切な故人のご葬儀を任せられるかどうかについては、よく検討する必要があるといえるでしょう。
寝台車の手配について
寝台車の手配は葬儀社に連絡するだけで済みます。
病院で亡くなった場合、ご遺体は院内にある安置室や霊安室に移動することになります。その後、院内に長く留めておくことはできないため、死亡が確認されてから早急に葬儀社にご遺体搬送の連絡を入れる必要があります。
あらかじめ依頼する葬儀社を決めてある場合は良いのですが、突然の訃報に慌てることも少なくないと思います。亡くなったことを知ってから葬儀社を選ぶまでの時間は、3時間以内が一番多いというデータもあります。インターネットが広く普及しているため、昔と比べれば葬儀社の情報は入手しやすくなっています。しかし、どうしても決めかねる場合は病院と提携している葬儀社を紹介してもらい、搬送のみを依頼することも可能です。
遠方で亡くなった場合、寝台車の手配にも注意が必要です。例えば東京で家族で暮らしていた人が北海道で亡くなったとします。東京でご葬儀を行いたいからといって、東京の葬儀社にご遺体の搬送を依頼すると東京⇔北海道の往復代金が必要となります。この場合は、北海道にある葬儀社にご遺体の搬送のみを依頼するのが経済的といえるでしょう。
霊柩車とは
次に霊柩車についても説明していきます。
霊柩車に使われている「柩」の字は「ひつぎ」と読みます。ご遺体が入っていない状態では「棺」という字を使い、ご遺体が入った状態では「柩」という字を使います。このことからご遺体を収めた「ひつぎ」を運ぶ霊柩車には「柩」の漢字が使われています。
霊柩車の使用目的
霊柩車は棺に入ったご遺体を葬儀場から火葬場へ搬送することを目的としています。
寝台車と同じように、貨物自動車運送事業法に基づき一般貨物自動車運送事業(霊柩限定)の許可を国土交通大臣から受ける必要があります。
貨物という言葉に違和感を感じる人もいると思いますが、これは、法令上ではご遺体は「貨物」に区分されるためです。
霊柩車の特徴
霊柩車は寝台車に比べて多種多様ですが、基本的な構造は共通しています。
車両後部には、柩ごと収容できるようレールやローラーが装備されており、柩を固定するためのストッパーが付いています。同乗できる人数は霊柩車の大きさによって異なりますが、喪主が位牌を抱えて助手席に乗るのが基本とされています。寝台車と同様に営業目的の使用のため、緑色の8ナンバーのナンバープレートが装着されています。
かつては霊柩車といえば、車両上部に金箔や彫刻などの装飾を施した宮型が主流でしたが、時代の流れとともにその数は減少しています。変わって増加傾向にあるのが洋型といわれる大型外車や高級国産車をベースとした霊柩車で、車両上部から後部にかけてレザー装飾を施したものが多く見られます。他にもマイクロバスをベースとしたバス型、ミニバンやステーションワゴンをベースとしたバン型などの霊柩車があります。
霊柩車の手配について
霊柩車の利用料金はご葬儀のプランに含まれていることが多く、手配についてもご遺族がどこかに連絡する必要はありません。
霊柩車を所持している葬儀社であれば自社の車両を使用し、所持していなければ葬儀社が専門業者に手配をかけることになります。
まとめ
寝台車はご遺体を亡くなられた場所から安置場所まで搬送する車、霊柩車はご遺体を葬儀場から火葬場まで搬送する車です。
目的の違いはあるものの、どちらも大切なご遺体を乗せて走る車です。信頼のおける葬儀社を通して手配するようにしましょう。