臨済宗のご葬儀について

こんにちは、八王子市・日野市・世田谷区で安心のご葬儀・家族葬のお手伝いをする葬儀社、都典礼(みやこてんれい)です。

今日もご葬儀に関する疑問、悩みの解消に役立つ情報をお伝えします。

日本人の多くは仏式のご葬儀を行います。その割合は、全体の9割を占めているといわれるほどです。
ご葬儀を執り行ったり参列する際、同じ仏式でも宗派によって流れやマナーが違ってくるため、戸惑った経験のある人もいるのではないでしょうか。
今回の記事では、臨済宗のご葬儀の特徴や流れ、マナーについて解説していきます。

目次

臨済宗とは

臨済宗は中国の禅宗五家のひとつで、唐時代末期に臨済義玄によって開かれました。

宋の時代に中国に渡り学んだ栄西によって日本に伝わったのは、鎌倉時代初期までさかのぼることになります。
日本仏教においては三大禅宗(臨済宗・曹洞宗・黄檗宗)のひとつであり、鎌倉新仏教(臨済宗・曹洞宗・浄土宗・浄土真宗・時宗・法華宗)のひとつでもあります。宗派は、妙心寺(みょうしんじ)派、南禅寺(なんぜんじ)派など15の宗派に分かれています。
鎌倉時代に導入された五山制度(京都五山・鎌倉五山)のすべての寺院が臨済宗の寺院であることからも分かるように、鎌倉幕府・室町幕府と強いつながりを持ち、政治への影響だけでなく、茶道や水墨画・能など中世の文化にも多大な影響を与えたといわれています。
臨済宗の教えは、座禅によって自らの力で悟りを開くことにあります。看話禅(かんなぜん)と呼ばれる座禅では、師匠と弟子が向かい合い、禅問答を行います。師匠が投げかける問いに対して、弟子は頭で考えるのではなく、体全体で答えを導き出すことにより、悟りの境地に達するとされています。読経ではなく座禅により悟りの境地に達するという方法が、当時の武士の支持を集め、勢力を拡大していくことになります。
臨済宗には、決まった本尊というものはなく、それぞれの派や寺院によって祀る本尊が異なる場合があります。多くの寺院では釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)を本尊としており、「南無釈迦牟尼仏(なむしゃかむにぶつ)」と唱えるのが特徴です。

臨済宗のご葬儀の流れ

臨済宗のご葬儀は、禅の考えに基づき、「故人が仏様の弟子となって修行の道に入り、自身の中にある仏性(言葉による理解を超えたものを理解できる能力)に目覚めるための儀式」という意味合いがあります。

大きくは「授戒」「念誦」「引導」の3つの儀式から構成されており、それぞれ以下の様な意味を持ちます。


 授戒:仏門に入る故人に対して、仏弟子として生きるための戒律を授ける儀式
 念誦:故人が仏様のご加護を受けながら浄土へと向かうことができる様、僧侶が経典を読み上げる儀式
 引導:仏性に目覚め、仏弟子となった故人を浄土へと旅立たせる儀式


臨済宗のご葬儀の流れについて説明していきますが、15もの宗派に分かれているため、宗派により若干の違いはあります。ここでは基本的な流れについて説明します。


【入場】

①導師入場
 導師(ご葬儀を執り行う僧侶)が入場します。

【授戒】

②剃髪(ていはつ)
 導師が剃刀を持ち、剃髪の偈(げ)と呼ばれる経文を唱えながら故人の髪を剃ります。剃る真似で済ませることもあります。
③懺悔文(さんげもん)
 故人の過去の行いを懺悔し、安らかに成仏することを願います。
④三帰戒文(さんきかいもん)
 仏教の教えを授けて、仏・法・僧に帰依することを誓います。
⑤三聚浄戒(さんじゅうじょうかい)・十重禁戒(じゅうじゅうきんかい)
 故人を清めるために、洒水灌頂(しゃすいかんじょう)といわれる浄化した水を棺に注ぎます。
⑥血脈授与(けちみゃくじゅよ)
 香を焚いて、「血脈」と書かれた紙を霊前にお供えします。


【念誦】

⑦入龕諷経(にゅうがんふぎん)
 諷経とは声を揃えて経文を唱えることで、納棺の際に「大悲呪(だいひしゅう)」と「回 向文(えこうもん)」が読経されます。
⑧龕前念誦(がんぜんねんじゅ)
 棺を閉じる際に「十仏名」(じゅうぶつみょう)という経文を唱えます。
⑨ 起龕諷経(きがんふぎん)
 出棺の儀式です。再度、大悲呪と回向文を唱えます。
⑩山頭念誦(さんとうねんじゅ)
 成仏を願い、往生咒(おうじょうしゅ)という経文を唱えます。妙鉢や太鼓を打ち鳴らします。


【引導】

⑪引導法語
 故人を浄土へ送るための法語を唱えます。後半で導師が「喝」と叫び、この世の未練から 故人を解き放します。


【焼香、出棺】

⑫焼香
 観音経や大悲心陀羅尼(だいひしんだらに)、楞厳呪(りょうごんしゅ)などが唱えられ る中で焼香が行われます。
⑬出棺
 最後に導師が回向文を唱え、妙鉢や太鼓が鳴らされてご葬儀が終了し出棺となります。


【退場】

⑭導師退場
 導師が退場します。

臨済宗のご葬儀のマナー

宗派によってご葬儀に際してのマナーが異なる点もあります。

今回は臨済宗のご葬儀において、注意したいマナーについて説明します。


数珠のマナー

一重の略式数珠を使う人も多いですが、臨済宗での正式な数珠は「看経念珠(かんきんねんじゅ)」と呼ばれる本式数珠で、親玉1個と、煩悩の数と同じ108個の玉を組ひもでつないだものになります。

他には振分念珠(ふりわけねんじゅ)と呼ばれる長い数珠を使っても良いです。
数珠を持ち歩く際は、左手の手首にかけておくのがマナーです。看経念珠は二重にしてかけるようにしましょう。合掌の際は二重にし、左手の親指と人差し指の間にかけます。房が下にくるようにして右手を添えて合掌します。


焼香のマナー

臨済宗での焼香の回数は、1回が基本とされています。

ただし、宗派によっては2回あるいは3回行うこともありますので、詳しくは寺院に確認しましょう。

焼香の手順は以下のようになります。

  1.  仏前で合掌礼拝します。
  2. 親指、中指、人差し指の3本でお香をつまみ、額にはいただかずそのまま香炉にくべます。
  3.  線香の場合、1本だけ火をつけて手であおぐか線香を振って火を消し、香炉に立てます。
  4. もう一度合掌礼拝します。


香典のマナー

臨済宗の香典の表書きについて、特別なマナーはありません。

他の宗派と同じように四十九日までは「御霊前」、四十九日以降は「御仏前」とします。香典袋に表書きを書く際、ご葬儀では薄墨を使用し、法要では黒墨を使うようにしましょう。
香典の額についても他の宗派と同様に、故人や喪家との関係、年齢や社会的立場などによって相場が変わってきます。同じような立場の人と、事前に相談できるようなら額を揃えると良いでしょう。あまりにも相場とかけ離れた金額を包むと、遺族が対応に困ってしまいますので、常識の範囲といえる金額を包むようにしましょう。

まとめ

臨済宗は、座禅によって自ら悟りを開く禅宗です。

その教えに基づき、ご葬儀は「仏様の弟子となり、仏性に目覚める儀式」とされています。
ご葬儀の流れには独特な部分があり、僧侶が「喝」と叫んだり、鉢や太鼓を打ち鳴らすなど、初めて参列する際には驚いてしまうことがあるかもしれません。
それぞれの儀式の意味や数珠・焼香のマナーなどを頭に入れておくことで、落ち着いて故人のご冥福をお祈りすることができるでしょう。

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