こんにちは、八王子市・日野市・世田谷区で安心のご葬儀・家族葬のお手伝いをする葬儀社、都典礼(みやこてんれい)です。
今日もご葬儀に関する疑問、悩みの解消に役立つ情報をお伝えします。
日本のご葬儀の多くは仏式で執り行われています。
キリスト教や神式を含めた全体のご葬儀での約9割が仏式ご葬儀です。
このデータより、仏事が日本人の生活と密接な関係にあることがわかります。
さらに仏式には多くの宗派が存在します。現在、日本に存在する宗派の数は13宗56派で、日蓮正宗はその内の一つです。
ご葬儀では宗派ごとの作法や、マナーがとても重要視されます。心を込めて故人を偲ぶためにも、宗派特有のルールを理解しておく必要があるでしょう。
今回の記事では、日蓮正宗とはどのような宗教か、日蓮正宗のご葬儀の内容や注意すべきマナーについて解説いたします。
日蓮正宗について
日蓮正宗は日蓮聖人を御本仏とする宗派で、総本山は静岡県富士宮市の大石寺です。
日蓮聖人が寂滅した後の1290年(正応3年)10月12日、弟子の日興により開基されました。現在では日本内外に700以上もの寺院があります。信仰は妙法蓮華経(みょうほうれんげきょう)を基礎としており、題目を唱えることで、今の困難から救われて成仏できると考えられています。
また、日蓮聖人の象徴である文字曼荼羅を大切にしており、日々のお務めを厳格に守ることが宗派の特徴の一つです。
混同しやすい日蓮宗との違いとは?創価学会との関係も
日蓮正宗と混同しやすい宗派に、日蓮宗があります。
日蓮宗は、鎌倉時代に日蓮聖人が開いた宗派で、山梨県の身延山久遠寺が総本山です。日本各地に5,000もの寺院が存在します。
日蓮正宗との大きな違いは御本尊にあります。日蓮正宗の御本尊が文字曼荼羅であるのに対し、日蓮宗は統一されていません。日蓮宗は日蓮聖人の寂滅後、5人の弟子によって宗派が分かれた経緯があり、近代に入り再び統合された歴史があることから御本尊が統一されていないのです。
なお、創価学会は元々日蓮正宗に在籍していましたが、日蓮聖人の教えに逸脱したとして平成3年に破門となりました。しかしその後、日蓮正宗に対して改心の姿勢を示したことから、参拝の拒否はしていないとされています。
日蓮正宗のご葬儀
日蓮正宗ではご葬儀の内容が厳格に決められています。
正しく儀式を執り行うことで、日蓮聖人が故人を成仏へお導きくださるのです。日蓮系宗派にとって、適切な手順で行うご葬儀こそ供養であり、三途の川を渡るための道筋といえます。
ご葬儀を執り行うときは、作法やルールを重視し、特徴を十分に理解しておくことが必要です。
こちらでは日蓮正宗のご葬儀の具体的な内容について解説いたします。
ご葬儀の流れ
- 喪主や親族・参列者が着席
- 僧侶入場
- 題目三唱
- 読経
- 焼香
- 弔事・弔電
- 観念文・題目三唱
- 僧侶退場
喪主や親族が着席した後、僧侶が入場します。
日蓮正宗では、最初に題目三唱として「南妙法蓮華経」を唱えることが一般的です。
次に、僧侶が妙法蓮華経の「方便品」「寿量品」を読経します。「寿量品」の読経が始まると喪主、親族、参列者の順番で焼香をして故人を偲びます。
その後弔辞・弔電の読み上げをして、妙法蓮華経「自我褐」の読経を行い、「観念文」を読みます。最後の題目三唱を終えた後、僧侶が退場して閉式となります。
ご葬儀の作法
仏式ご葬儀では、宗派ごとに特徴があります。
日蓮正宗の場合も同様に、独自の作法があるため、事前に認識を深めておくと安心です。日蓮宗と似た作法も多いため、混同しないよう気をつけて下さい。
題目三唱
日蓮正宗の儀式の特徴の一つに、題目三唱があります。
日蓮系宗派では題目三唱を行うことが一般的です。全員で「南妙法蓮華経(なんみょうほうれんげきょう)」を唱えます。題目三唱することで、今世の迷いから解放して成仏が叶うとされているのです。「南妙法蓮華経」は最初に二回「南妙法蓮華経」を唱え、間をおいてから再び「南妙法蓮華経」を一回唱えることが作法となります。
焼香について
焼香の回数は3回です。
抹香を指で摘み額にあてる作法を「押しいただく」と表現しますが、日蓮正宗では遺族と祭壇に一礼をし、3回押しいただいた後で合唱をします。
その後、再び祭壇に一礼して着席します。
お供えについて
仏花ではなく、樒(しきみ)を供えることが一般的です。
樒には生命の力強さを表すとされ、邪念を除き心を清めるとも考えられています。お供えは線香と果物を合わせて供えるようにします。
仏壇は、厨子がついた専用のものを使用し、仏壇内には位牌のかわりに御本尊を置きます。
日蓮正宗のマナー
日蓮正宗は、ご葬儀の作法やルールに重点を置いています。
そのため他の宗派にはないマナーが存在します。当日の儀式を滞りなく円滑に進めるためにも、必要なマナーを理解しておきましょう。注意すべきマナーは以下の通りです。
喪主・親族
一般的に、遺族は儀式をおつとめいただいた謝礼として、僧侶に「お布施」を差し出します。
しかし日蓮正宗では「お布施」ではなく、「御供養」と呼ぶため注意が必要です。これは僧侶に対する謝礼ではなく、御本尊へのお供えという意味合いがあるためです。相場金額も設定されていません。
参列者
故人へ供える金銭に「香典」があります。
しかし、日蓮聖人では霊の概念がないため、表書きに「御霊前」を使用しません。代わりに「御香料」と記載することがマナーとされているため、誤りのないように気をつけましょう。
服装について
通常の喪服で問題ないとされています。
男性の場合は、黒などダークカラーのスーツに白いワイシャツです。正式喪服がよいときはモーニングの着用が一般的でしょう。ネクタイと靴は黒で合わせます。
女性は黒のワンピースかスーツがよいとされており、正式喪服の場合は、黒の着物かアンサンブルを着用します。靴やカバンは黒で統一することがマナーです。動物革は殺生を連想するため、避けなければなりません。装飾のないシンプルなデザインを用いることがマナーといえます。
まとめ
この記事では日蓮正宗のご葬儀について解説しました。
作法を重んじる宗派であるため、ご葬儀の流れや内容を理解しておくことが大切です。突然の訃報に慌てることがないように、十分に理解を深めておきましょう。不明な点があるときは、菩提寺もしくは周囲に事前相談しておくと安心でしょう。
- 日蓮正宗は日蓮聖人を御本仏とする宗派で妙法蓮華経を信仰している
- ご葬儀では全員が題目三唱として南妙法蓮華経を唱える
- 焼香の回数は3回
- 僧侶への謝礼は「お布施」ではなく「御供養」を使用する
- 香典の表書きは「御霊前」ではなく「御香料」と記載する
- 服装は通常の喪服を着用する
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