故人様が亡くなってから一番初めに考えなければいけないことは、故人様をどこに『安置』するかです。
葬儀社で『安置室(あんちしつ)』のご用意がある場合は、そちらに安置するのが一番楽な方法かもしれません。しかし、故人様を一度自宅に連れて帰りたいと希望するご遺族も少なくありません。
今回の記事では自宅安置を行う際に注意する点を解説していきます。
こんにちは、八王子市・日野市・世田谷区で安心のご葬儀・家族葬のお手伝いをする葬儀社、都典礼(みやこてんれい)です。
今日もご葬儀に関する疑問、悩みの解消に役立つ情報をお伝えします。
自宅安置のメリット・デメリット
メリット
自宅安置のメリットは、やはり故人様と自宅でゆっくり過ごせることでしょう。
故人様が臨終するのは場合にもよりますが、病院などの施設がほとんどです。そのため自宅で最期を迎えたくてもできないのが現状です。故人を一度家に連れて帰りたい、そんな考えの方も多いかと思います。
デメリット
デメリットは、ご親族の負担が大きいことです。
ご葬儀には色々な準備が必要になります。自宅にご安置するとなると、その中で故人様の状態に気を使わないといけません。具体的には、
- 搬入経路の確保と安置スペース
- ご葬儀までご遺体の状態を保たないといけない
という点があります。次項から上記の注意点について、詳しく解説していきます。
車両の手配とご遺体の搬入
まずは車両の手配をしましょう。
『死亡診断書』があれば実は自分で搬送することもできます。
しかし故人様のご状態や衛生面でのリスクを考えると、専用業者にお願いした方がいいでしょう。また、病院であれば搬送専門の業者を紹介してもらえます。それからご葬儀をお願いしたい葬儀社があれば、遺体搬送の車が手配できないか聞いてみましょう。
ご遺体を自宅に搬入するときに、まず確認したいことは『どこから入るか』です。故人様は寝かせたまま、寝台車でお連れすることになります。たとえば、自宅がマンションであれば自宅に安置できるスペースがあるか、エレベーターや廊下から搬入できるか、このような点は確認はしておきたいところです。戸建てにお住まいであれば特に問題はないでしょう。また、車を停止して搬入できるスペースは確保しておきましょう。
安置場所と向きについて
部屋の中に入ったら『安置する場所』を決めます。
自宅に仏壇(ぶつだん)、祖霊舎(それいしゃ)があれば、故人様をその前に寝かせます。
その際に、寝かせるときは『頭北面西(ずぼくめんさい)※』を意識するとよいでしょう。
※お釈迦様が亡くなったときに取った姿勢と言われています。
頭を北向きに、顔は西向きにしますが、実際には顔は斜めにせず仰向けにします。「北向きが無理なら頭を西向きにしてください」と解説しているのをよく見かけますが、仏壇が置いてある位置を『西』とした方がいいです。結論は『仏壇の右に頭を向ける(本尊側に向ける)』です。仏壇があるときは注意してください。
ご遺体にドライアイスが必要な理由
故人様は亡くなると、かなしいですが傷み始めます。
故人様がご葬儀終了まで生前の姿を保つためにドライアイスが必須です。特に故人様の、
- 身体が大きい
- 体温が高い
- 感染症である
ときは、急速に冷やす必要があります。
葬儀社に連絡をするときは最初にドライアイスの手配を頼みましょう。ご遺体の状態を悪化させないために、直後の冷却は非常に重要になります。
ご遺体の安置期間は、最短で1日です。しかし火葬場が混んでいたり友引を避けるなどした場合、状況によっては3日以上安置することになります。
業者によっても差額はありますが、1回使用分のドライアイスの量は約10キロで8,000〜10,000円程となります。季節によっても必要な量が変わるため、夏の暑い日には1日で2回ほど必要な場合もあります。
故人様にドライアイスをあてるときは、肌にくっついてしまう恐れがあるため、直接あてないようにします。あて方にもコツ※がありますので、こちらは葬儀社の方に任せたほうが安心です。
※基本的に『お腹』や『胸』を冷却します。平らなところが効果的です。また冷気は下降するため、厚めの服の上からは、あまり効きません。
氷ではドライアイスの代わりにはならない
氷では故人様の身体の中まで冷やすことができません。
そのため、氷より低温(約マイナス80度)のドライアイスが必須になります。代わりに氷を使うことは濡れて更に傷みの原因になるので絶対にやめてください。
また専門的な話になりますが『氷』と『ドライアイス』は元の材料が違います。
- 氷は水が固まったもの
- ドライアイスは二酸化炭素が固まったもの(液体にならない)
死後硬直について
亡くなって2時間ほどすると、故人様に『死後硬直(筋肉が固まっていく現象)』始まります。
約1日後がもっとも身体が固くなり、その後だんだんと解けていきます。見たことのない現象で心配になるかもしれませんが、無理に体制を変えようとしないでください。棺に納めるときに関節を可動域にそって動かすことによって動くようになります。こちらは納棺担当の方に任せたほうがいいでしょう。また故人様に着せたい服があれば、そちらもご用意しておいてください。
室温と乾燥に気をつける
亡くなった後は、何もしなくても乾燥していきます。
一度乾燥してしまうと元に戻すのが難しくなります。顔周り、特に唇は乾きやすいので注意が必要です。そのため故人様の保湿ケアはもちろん、室温と乾燥には十分気をつけてください。寒い時期は部屋の温度を上げすぎると、故人様の傷みが早くなってしまいます。また乾燥の原因になるので、エアコンのスイング機能などで故人様に直接風をあてないように注意してください。
まとめ
今回は自宅安置をする場合の注意点について解説しました。
実際には葬儀社の担当の方にお任せすることになるかもしれませんが、自宅安置で注意することがあると知ってもらえたかと思います。ポイントは
- 搬入経路・安置スペースの確保
- 仏壇は『西』と考える
- 状態を保つために『ドライアイス』は必須
- 故人の乾燥に気をつける
です。ご自宅での安置を検討している方は、参考にしてみてください。