エンバーミングとは「遺体衛生保全」のことをいい、ご遺体を衛生的に修復・保全し、長期間保存するための施術です。
元々は、土葬が主流の国々で施されていた技術となりますが、ご遺体を美しくかつ衛生的に長期保存ができるため、近年では日本での需要も高まっています。
「生前の元気な姿で故人をお見送りしたい」「ご葬儀の日程にゆとりを持って故人との最後の時間をゆっくりと過ごしたい」という希望もエンバーミングを行えば叶えることができます。
そこで、この記事では以下について解説していきます。
- エンバーミングの目的
- エンバーミングが必要な場合
- エンバーミングの費用
- エンバーミングの流れ
- エンバーミングを行う際の注意点
こんにちは、八王子市・日野市・世田谷区で安心のご葬儀・家族葬のお手伝いをする葬儀社、都典礼(みやこてんれい)です。
今日もご葬儀に関する疑問、悩みの解消に役立つ情報をお伝えします。
エンバーミングとは?エンバーミングの目的
エンバーミングとは、ご遺体の消毒・殺菌、防腐、修復を目的に、化学的・外科医学的な技術を施すことです。
日本では、日本遺体衛生保全協会(IFSA)から認定された、エンバーマーという専門の資格を有する人だけがエンバーミングを行うことができます。エンバーミングの処置を施せば、10日間〜2週間程度はご遺体を腐敗させることなく保存が可能です。
エンゼルケアとの違い
よく混同されやすいのが、医療機関や葬儀社などで施すエンゼルケアです。
エンゼルケアでは、ご遺体の清拭や、医療器具でついた跡などの手当、着替え、死化粧などを行います。あくまでもご遺体の外観的な部分を美しく整えるケアとなるため、エンバーミングのような長期にわたるご遺体の保全効果はありませんのでご注意ください。
エンバーミングが必要な場合は?
次に、エンバーミングが必要な4つのケースについて紹介していきます。
亡くなってからご葬儀までの日数が長くなる場合
人が亡くなってから火葬までの日数は2〜3日が一般的ですが、ご遺族が遠方に住んでいたり、火葬場に空きがなかったりする場合、火葬に数日かかってしまうことがあります。
その際、ドライアイスだけではご遺体の状態を保つことが難しいため、エンバーミングを利用することがあります。エンバーミングを行えば、ドライアイスを使用する必要もなく、ご葬儀まで自宅で安全に故人と過ごせます。
概ね亡くなってから火葬まで10日以上になる場合には、エンバーミングを検討した方がいいでしょう。
ご遺体からの感染病を防ぎたい場合
故人が感染症にかかっていた場合、ご遺体に触れることで病気に感染してしまう可能性があります。
エンバーミングでご遺体を除菌・殺菌することで感染を防ぎ、安心してご遺体に触れることができます。
ご遺体を空輸する場合
海外で故人が亡くなりご遺体を搬送する場合、機内ではご遺体保全のためのドライアイスを使うことができません。そのため、遺体の状態を保つためにもエンバーミングの処置が勧められています。
元気だったときの姿で見送りたい場合
長い闘病生活でかなりやせ細ってしまった場合や、怪我や火傷などでご遺体の損傷が激しい場合も、エンバーミングを利用することがあります。
エンバーミング技術を使えば、数時間で表情が分からない状態から、元の綺麗な表情に戻すことが可能です。最後に生前と変わらない穏やかな顔でお見送りができることで、故人を失った遺族の悲しみを和らげることができるでしょう。
エンバーミングの流れ
エンバーミングは、日本衛生保全協会(IFSA)が認定するエンバーミング施設で行います。
エンバーミングの施術には2〜3時間程度を必要とします。その間ご遺族は立ち会うことはできませんのでご注意ください。エンバーミングを行う際の流れは以下の通りです。
1. エンバーミング施設に「エンバーミング依頼書」と「死亡診断書(死体検案書)」を提出する
2.病院や自宅などの安置所から故人をエンバーミング施設に搬送する
3.故人の状態を確認し、遺体の洗浄や消毒を行う
4.洗髪や洗顔、ひげ剃りなどを行い、表情を整える
5.エンバーミング液(保全液)をご遺体に注入する
6.腹部を小さく切開し、血液や体液、腐敗しやすい残存物を吸収し、防腐剤を注入する
7.ご遺体を洗浄してきれいにし、故人のお気に入りの服を着せる
8.髪型を整えて化粧を施し、再度表情を整える
9.故人を自宅やご葬儀場へ搬送する
エンバーミングの費用の相場は?
エンバーミングの費用は、日本衛生保全協会(IFSA)が設定する基本料金を基準として、15万円〜25万円ほどが相場となっています。
また、ご遺体の状態や施す処置によっても費用は変わります。
エンバーミングの注意点
エンバーミングを行う際の注意点についてご紹介します。
家族からの同意を得られているか
エンバーミングは、日本でも徐々に認知度が上がってはいるものの、土葬文化の欧米諸国と比較するとまだまだ日本に馴染みのない技術です。
中にはご遺体に特別な処置を施すことに抵抗を感じる方もいらっしゃるでしょう。
また、費用も決して安いとはいえず、通常のご葬儀に追加で負担することとなります。家族で意見が分かれた場合は、よく話し合いをしましょう。
対応している施設が限られていること
日本でエンバーミングを行える施設は、まだ限られています。日本衛生保全協会(IFSA)の公式サイトで認定されているエンバーミングセンターは、全国70施設(2022年8月現在)のみです。
エンバーミング施設が1件もない県もありますので、エンバーミングセンターまでご遺体を搬送する時間や費用も考慮して、実施を決めましょう。
まとめ
エンバーミングとは、ご遺体を生前の姿により近づけ、衛生的に長期間保存するための特別な措置です。
やむを得ない事情でエンバーミングを施す場合もありますが、元気だったころの故人の面影を感じながら最期のお別れをゆっくりと過ごすことができるという、何にも代えられないメリットもあります。
大切な人との最後の時間を素敵な思い出として残せるように、エンバーミングを検討してみてもよいかもしれません。