浄土真宗のご葬儀について

仏教の宗派にも色々ありますが、今回は『浄土真宗のご葬儀』について解説します。

まずはじめに、かんたんに浄土真宗の特徴をお伝えします。

  • 【宗祖】親鸞(しんらん)
  • 【本尊】阿弥陀如来(あみだにょらい)
  • 【唱える言葉】南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)

『授戒』(お坊さんや信者が守るきまり)や『戒名』(仏弟子の名前)はありません。
宗祖の親鸞自身も肉食妻帯をつらぬいたそうです。

出家も修行も必要なく(在家仏教といいます)、南無阿弥陀仏を唱えれば救われる。
そんなシンプルなわかりやすさから、もっとも日本で人数が多い仏教宗派です。

この記事では

  • 浄土真宗の10派の名前
  • 浄土真宗のご葬儀の意味
  • 浄土真宗のご葬儀のお作法


の3点について、解説していきたいと思います。

こんにちは、八王子市・日野市・世田谷区で安心のご葬儀・家族葬のお手伝いをする葬儀社、都典礼(みやこてんれい)です。

今日もご葬儀に関する疑問、悩みの解消に役立つ情報をお伝えします。

目次

浄土真宗10派の名前

浄土真宗には、正式には10派あります。
それぞれの名前を確認してみましょう。

  • 浄土真宗本願寺(ほんがんじ)派 【お寺の数】約10,500
  • 真宗大谷(おおたに)派 【お寺の数】約8.900
  • 真宗高田(たかだ)派 【お寺の数】約640
  • 真宗佛光寺(ぶっこうじ)派 【お寺の数】約390
  • 真宗興正(こうしょう)派 【お寺の数】約500
  • 真宗木辺(きべ)派 【お寺の数】約200
  • 真宗出雲路(いずもじ)派 【お寺の数】約60
  • 真宗誠照寺(じょうしょうじ)派 【お寺の数】約70
  • 真宗山元(やまもと)派 【お寺の数】36
  • 真宗三門徒(さんもんと)派 【お寺の数】21

それぞれの師弟や血縁から10に分流しているのですが、全てを解説するとかなりのボリュームになってしまいます。

そのため、ほとんどのお寺の流派である

  • 浄土真宗本願寺派(西本願寺)
  • 真宗大谷派(東本願寺)

に絞って解説します。


浄土真宗のご葬儀の意味


浄土真宗のご葬儀の意味を知ることで、ご葬儀のお作法も理解しやすくなります。

西本願寺と東本願寺には細かな違いはありますが、見極め方として一番わかりやすいのが荘厳(お飾り)の違いです。

  • 燭台が菊型 西本願寺
  • 燭台が鶴亀 東本願寺

はじめに、結論として浄土真宗のご葬儀は、ほとんど日常のお勤めがそのまま移行する形になります。
ご葬儀をおこなう意味については、各派違いはありません。

それではここから、浄土真宗のご葬儀が他の仏教と大きく異なる点について解説いたします。


【授戒】と【引導】がない

浄土真宗のご葬儀の特徴として、授戒と引導がないことが挙げられます。

  • 『授戒』仏弟子の決まりごとのようなもの
  • 『引導』死者に悟りを開かせ導くこと

なぜ、この考え方かといいますと、

 「普段からお念仏を唱えていれば、浄土往生は約束されている。
なので、死者のために成仏を祈ることはしなくてもよい。
阿弥陀如来さまが導いてくださる。」

これを『他力本願』といいます。

亡くなると浄土に生まれる

浄土真宗では亡くなると、浄土に生まれるという『往生即成仏』の考え方なので、死出の旅もありません。

故人の旅支度(死装束)もございませんし、霊の存在も認められていません。
また死者に穢れはないという考えなので、清め塩を使うことも否定されています。


ご葬儀は仏の教えを学ぶ聞法(もんぽう)の場

浄土真宗のご葬儀の意味は
「死者が死という事実を身をもって示し、死を迎える準備を無言で教えている。
この集まりを縁として阿弥陀如来に感謝して、仏の教えを共に学びましょう。」
といった意味があります。ご葬儀は聞法の場である、というのがポイントです。


浄土真宗のご葬儀のお作法

浄土真宗のご葬儀のお作法

  • 焼香
  • 香典袋
  • 故人の死後の名前


について解説します。

どれもが、前項の『浄土真宗のご葬儀の意味』に基づいています。


焼香について

西本願寺と東本願寺では、焼香回数に違いがあります。

  • 西本願寺は1回
  • 東本願寺は2回

浄土真宗では故人はすぐに仏になるので、成仏を祈るための動作である焼香の際に額に押し頂く必要はありません。

お香をつまんだら、そのまま香炉の中に入れます。
お線香の場合は、横に寝かせましょう。

焼香の流れ

  1. 本尊に向かって一礼
  2. 焼香(西本願寺は1回、東本願寺は2回)
  3. お念珠を両手にかけて、手をあわせます


香典袋の表書きについて

香典袋の表書きには『ご仏前』を使いましょう。

その理由は、浄土真宗の考え方からきています。浄土真宗では、亡くなるとすぐに浄土に生まれる『往生即成仏』の考え方になります。よって『ご仏前』が正しいのです。
以後の法要(四十九日など)でもずっと『ご仏前』を使用しましょう。
西本願寺、東本願寺、ともに『ご仏前』で問題ありません。


死後の名前は【法名】

浄土真宗では、授戒がありませんので戒名は付きません。
それに変わる名前が『法名』になる、ということを覚えておきましょう。

基本位牌は用いませんので、法名軸に法名を書いて飾ります。
(地方によっては位牌も用いますので、その限りではありません)

読み方は【法名 釋(しゃく) 〇〇】となります。←〇〇に名前が入ります

ちなみに、女性には 【法名 釋 尼 〇〇】 と『尼』の字がついていましたが、男女の差別に配慮して近年は『尼』をつけないことも多くなってきました。


まとめ

『浄土真宗のご葬儀について』のまとめです。

浄土真宗には10派あって、2大流派

  • 浄土真宗本願寺派(西本願寺)
  • 真宗大谷派(東本願寺)


それぞれの流派の考え方は統一されており、『往生即成仏』、故人はすぐに浄土に生まれるので死出の旅をしない。それから死装束はしなくてもいい。霊も穢れも無いので、祓うこと(塩で清める・お香を額にあてる)はしない。

ご葬儀での焼香

  • 西本願寺が1回
  • 東本願寺が2回


額にいただかずにそのまま焼香。

香典の表書きは全て(法事も含めて)『ご仏前』。

授戒は授けられない『在家仏教』。
よって戒名は付けられず、『法名』と付ける。

今回は浄土真宗のご葬儀で、抑えておきたい部分を解説しました。

気になる方は是非参考にしてみてください。

【関連記事】真言宗におけるご葬儀の流れやマナーをご紹介

SNSへのシェアはこちらから
  • URLをコピーしました!
目次